慢性腎臓病とは
こんにちは、じんぞうの学校の校長で腎臓専門医の森 維久郎です。
今日は慢性腎臓病について触れたいと思います。
健康診断で腎臓が悪いと言われた、慢性腎臓病を指摘されたという患者さんには大切なことも書いているので是非読んで頂きたい内容となりますので是非最後まで読んでくださいね。
慢性腎臓病とは
慢性腎臓病とは、以下の①、②のいずれか、または両方が3カ月以上持続した状態を指します。
- 血液検査で腎機能を評価するeGFRと呼ばれる値が60 mL/分/1.73 m2以下の状態
- 尿検査や超音波検査・CT検査で腎臓に異常を認めた状態
日本人の約8人に1人が慢性腎臓病の診断を受けている国民病です。
慢性腎臓病の症状
慢性腎臓病には初期症状がありません。
しかし進行すると身体にとって不要な毒素や水分を身体の外に出すことが出来なくて、透析や腎移植をしないと意識を失ったり、死に至る状態になります。
また、汚いものを取り除くだけでなく、骨や筋肉、血液の成分など身体にとって必要なものを作る働きがあり、その働きが不足することで以下のような症状や合併症が起きます。
- 心臓・脳の異常:心筋梗塞、心不全、不整脈、脳卒中など
- 貧血:腎性貧血など
- 筋肉・骨の異常:筋力低下、骨粗鬆症など
- その他:脂質異常症・電解質異常・高尿酸血症など
慢性腎臓病の原因
慢性腎臓病の原因は数多くありますが、大まかに「生活習慣病」と「生活習慣病以外」で分ける事が出来ます。
生活習慣病としては以下のようなものがあります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 肥満
- タバコ など
日本で透析になる患者さんで一番多いのは、糖尿病性腎症ですが、近年高齢化の影響で動脈硬化が原因の腎硬化症が増えています。
生活習慣病以外の原因としては免疫や遺伝の病気が多く、以下のようなものがあります。
- IgA腎症
- 多発性嚢胞腎
- ネフローゼ症候群 など
また年齢を重ねるだけで腎機能が低下することもあります。
これらの原因は一つだけでなく、例えば高血圧とタバコが原因のように複数の原因が重なることで起きます。
慢性腎臓病の治療
慢性腎臓病の治療は何か一つをやればよくなるというものではなく、食事、運動の治療をしながら必要な薬を飲む必要があります。
慢性腎臓病の食事療法
食事療法は、塩分制限、タンパク制限、野菜・果物制限など様々な制限を必要とします。
ただし、すべて制限する必要はなく患者さんの腎臓病の重症度、年齢、腎臓病の原因などで優先度を決めて食事療法をおこないます。
慢性腎臓病の運動療法
10年ほど前まで、腎臓病の患者さんは運動をしてはいけないと言われてきましたが、近年運動が腎臓に良いということがわかってきて、「腎臓リハビリテーション」という運動療法が誕生しました。
有酸素運動、筋力トレーニングなどを中心に行なっていきます。
慢性腎臓病の治療薬
腎臓の保護効果のある、血圧の治療や血糖の薬などを組み合わせ治療します。
腎機能低下が進行するにつれて起きる合併症を一つ一つ対策していきます。
慢性腎臓病の重症度を理解しましょう【必読】
慢性腎臓病には軽症のものから重症のものがあります。
軽症の時、重症の時で治療の考え方が大きく異なることが多々あるので注意しましょう。
例えば、腎臓の治療で行う食事制限は軽症の時は必要が無いことが多く、高齢者の場合はこの食事制限によって健康を損なうこともあります。
腎臓病を一括りにせずに自分が軽症なのか重症なのかを理解する必要があります。
腎臓病には重症度を示すステージという概念があります。
主に血液検査で腎臓の能力を示す「eGFR」を使用して、良い方から順番にステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、ステージ5と振り分けをします。
「eGFR」が90以上だとG1、60以上だとG2、45以上だとG3a、30以上だとG3b、15以上だとG4、15より下だとG5になります。
ご自身の採血データーをみて自分の位置を確認してください。
慢性腎臓病のステージについては「慢性腎臓病のステージ」のぺージで詳しく触れたいと思います。
この記事を書いた人
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書籍
- 書籍「腎臓病とわかったら最初に読む食事の本(無理なく続けられる満足レシピ)」
- 書籍「赤羽もり内科・腎臓内科式 腎臓病のレシピの教科書: 管理栄養士にも役立つ」
- 書籍「専門医が教える! 腎機能を守る食べ方・運動・生活習慣」
- 書籍「腎臓病でも楽しめるラーメン・パスタ・うどん(奇跡の減塩レシピ)」
連携クリニック
じんぞうの学校は「赤羽もりクリニック」と連携しております。
赤羽もりクリニックは腎臓病の悪くならないようにすることに特化したクリニックで、腎臓専門医4名、管理栄養士5名を中心に日々の診療をしております。
特に管理栄養士による栄養相談に力を入れており、年間3600件以上の栄養相談を受け入れております。
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