腎臓辞典

慢性腎臓病のステージ

慢性腎臓病には軽症のものから重症のものがあります。

軽症の時、重症の時で治療の考え方が大きく異なることが多々あるので注意しましょう。

 

例えば、腎臓の治療で行う食事制限は軽症の時は必要が無いことが多く、高齢者の場合はこの食事制限によって健康を損なうこともあります。

腎臓病を一括りにせずに自分が軽症なのか重症なのかを理解する必要があります。

この記事では慢性腎臓病のステージの分け方と、ステージ毎の対策方法について書きます。

慢性腎臓病のステージの分け方

慢性腎臓病では重症度に応じてステージをつけて分けます。

このステージ付け方として「CKDの重症度分類」と呼ばれる方法があります。

この方法では血液検査の「GFR」と尿検査の「タンパク尿」という2つの検査項目を使います。

下の図のGが「GFR」、Aが「タンパク尿」で右下に行けば行くほど重症になります。

  • G → GFR
  • A → タンパク尿

GFRでの分け方

GFRは、腎臓の濾過する能力を示した値で、血液検査でeGFRと呼ばれる項目で評価します。

良い方から順にG1.G2.G3a.G3b.G4.G5とステージ分けをします。

  • GFRが90以上 →G1
  • 60以上~90未満 →G2
  • 45以上~60未満 →G3a
  • 30以上~45未満 →G3b
  • 15以上~30未満 →G4
  • 15未満 →G5

タンパク尿での分け方

タンパク尿は、尿の中のタンパク質の量を示す値で、腎臓のSOSのようなサインの役割を担います。

良い方からA1.A2.A3とステージ分けをします。

  • タンパク尿が0.15g/日未満 →A1
  • 0.15以上~0.5未満 →A2
  • 0.5g以上 →A3
例えば、eGFR47でタンパク尿0.6g/日の場合は「慢性腎臓病ステージG3a A3」と診断します。

慢性腎臓病ステージG3

日本にいる慢性腎臓病の患者さんの約7-8割が、慢性腎臓病ステージ3です。

基本的に、腎機能が低下することで起きる症状が出ることはまだ少なく、治療として背景にある腎臓を悪くする血圧や血糖の治療を中心に行います。

状況によりますが、タンパク尿が出ていない場合は、食事療法でタンパク制限やカリウム制限が必要になることは少なく、数年で今後人工透析が必要になる可能性も低いです。

タンパク尿が出ている場合は、ステージ3の段階でしっかり治療を行うことで透析を遅らせる効果が期待できるので、厳格な血圧・血糖コントロールを行い、管理栄養士と共に食事や体重のコントロールが必要です。

このステージの方には高齢者が多く、不必要な食事制限をして身体機能が衰えることが多いので腎臓リハビリテーションを勧めることが多いです。

慢性腎臓病ステージG4

慢性腎臓病ステージ4になると、人によっては浮腫みなどの症状や、高カリウム血症、腎性貧血などの合併症が起きることが増えてきます。

治療は基本的な血圧・血糖の調整に加えて、症状や合併症の治療も並行して行います。

食事療法としてタンパク制限やカリウム制限が必要になってくることもあり、薬としてカリウムを吸着する薬や、腎性貧血を改善させる薬を使用し始めるのもこの時期です。

慢性腎臓病ステージG5

慢性腎臓病ステージ5になると、腎臓が10-20%程度しか動いておらずこの時期になると、透析をどうしたら遅らせるかということだけでなく、透析が必要になってしまった時にどうするかということをしっかり考えなくてはならなくなります。

血液透析だけでなく、腹膜透析や腎移植という医療機関への通院の負担が少ない治療方法もあるのでしっかり協議する必要があります。

腎機能が低下することによって起きる症状や、合併症に対して1つ1つ治療を行い、食事療法としてタンパク制限やカリウム制限も必要に応じて行います。

薬として体をアルカリにする薬や、毒素を吸着する薬が使われ始めるのもこの時期です。

タンパク尿で分ける意義

eGFRでステージをGで分けましたが、タンパク尿でステージをAで分ける意義についてお話しします。

タンパク尿は多ければ多いほど、将来的に腎機能が低下するスピードが速いと言われており、ステージA1よりステージA3の方が将来的に人工透析が必要にある可能性が高いです。

それだけでなく、ステージA1よりステージA3の方が心臓病などによって死亡する確率が高いため注意が必要なのでステージをGだけでなくAで分けるようにしています。

eGFRが「現在の腎臓」であれば、タンパク尿は「未来の腎臓」と言えます。