
腎生検

以下のような方に読んでほしい記事です。
- 腎生検について情報提供されたけど、よく分からないとお悩みの方
- 腎生検が必要と言われたけど、痛そうで怖い・・・と不安に思う方
- 腎生検を受けたくない・・・と不安に思う方 など
腎生検とは
腎生検(じんせいけん)とは、背中から針を刺して腎臓の組織をとる検査です。
検査で採取した腎臓の組織を、顕微鏡で病理学的に評価して、実際腎臓で起きていることを細胞レベルで知る事ができます。
腎臓病の原因を調べる検査の中では一番診断に結びつきやすい検査です。
腎生検を行う理由
腎臓病の原因を調べる検査として腎生検の他に以下のような検査があります。
- 血液検査
- 尿検査
- 画像検査 など
ただしこれらの検査での情報量は限られており、中々診断を付けることができないこともあります。
腎生検は腎臓『そのもの』を採取して、細胞レベルでの変化をみることができるため情報量が多く、診断を付けるうえで最も効果的な検査なため、問診・血液検査などで中々診断を付けることができないときに選択されます。
一方で良い検査ではある反面、腎生検を行うに際して合併症のリスクがあるためメリット・デメリットを天秤にかけて行うメリットが上回るときに行います。
腎生検の合併症
腎生検は、背中から腎臓に向けて針を刺して組織を取ってくるため以下のような合併症が起きる可能性があります。
- 大量出血
- 感染 など
特に怖いのは出血で、腎臓は血管の塊で大出血すると輸血や外科手術が必要になることがあります。
輸血や手術が必要になる確率は稀で0.2%程度と言われていますが、考慮にいれるべき合併症だと思います。
腎生検を行う場合
主に以下のような場合、腎生検を検討します。
緊急〜準緊急で腎生検を行う時
- 大量のタンパク尿が出ておりネフローゼ症候群の状態の時。
- 腎機能障害が急激に進行している時。
待機的に腎生検を行う時
- 尿潜血・血尿が持続しており、腎障害が考えられる時。
- 原因不明の腎不全がある時。
- 将来移植を考えている時。
- 0.5g/日以上のタンパク尿がある時。(施設によって判断は異なります。)
一方で、腎臓が小さかったり、のう胞がある場合は、出血するリスクがあるため腎生検を行わない事もあります。
腎生検の流れ
腎生検の流れについて書きます。原則入院をして行うことが多いです。
腎生検の流れは医療機関によって異なるので、イメージとしてとある医療機関の流れを例として書いてみます。
① 処置室に入室して、尿の管を入れます。
② うつ伏せになり、医師が背中から超音波を当てて、腎臓の位置を探して息止めの練習をします。
③ 局所麻酔をします。
④ 呼吸に合わせて腎臓の位置を固定して医師が針を指します。
⑤ 検体を約3本くらい取ったら終了します。検体をとるごとに止血のため背中を圧迫します。
⑥ 検査終了後、約10分ほど圧迫します。(少し息苦しさ、血圧低下、冷や汗などの症状がでることがあります。)
⑦ 仰向けになり、背中に砂嚢を入れて自分の体重で圧迫します。
これで一通りの処置が終了で、すべてで1時間弱の時間がかかります。
⑧ 背中の砂嚢は数時間で取れますが、腎生検から翌朝までずっと仰向けで寝ます。
⑨ 翌日に出血がないかを採血、エコーで確認して終了です。その後数日経過観察を行って退院です。
⑩ 退院後は普通に生活しても大丈夫ですが、腰をひねったり、腹圧がかかる激しい運動は控えて頂きます。
腎生検を検討されている患者様からよくある質問
Q 腎生検は痛いですか?
あくまで患者さんの感想を聞く限りですが、腎生検自体よりは、腎生検の後に圧迫したり、男性の方は尿道のバルーンを入れる時が痛いとおっしゃる患者様が多いです。
Q 腎生検を受けたくないです。
腎生検を受けたくないとおっしゃる患者様は、多くいらっしゃいます。お気持ちはわかります。
しかし腎生検を行うことで診断がつき、透析になるのを防ぐ治療につながる患者様が高いため、本当に必要であれば精査を行うことを推奨します。
Q 腎生検を行う際のオススメの医療機関はありますか?
個人的な意見ですが、腎生検に関しては少し場所が遠くても慣れている医療機関でやった方が良いと考えています。
当院に通院されている患者様には腎生検の症例数が多い病院を紹介しています。