
慢性腎臓病と便秘

慢性腎臓病と便秘
慢性腎臓病になると、便秘になりやすくなると言われており、最近この慢性腎臓病と便秘の関わりが注目を集めています。
便秘は症状だけでなく、ミネラルの代謝異常や尿毒症に繋がることもあるので慢性腎臓病では便秘に対してしっかり治療を行う必要があります。
便秘のメカニズムと原因
慢性腎臓病の患者さんでは腸内で2つの変化が起きていると考えられています。
- 善玉の腸内細菌の数が減る
- 腸管への負荷の増加
これら2つの変化が起きる原因ははっきりと分かっていないのですが、以下のような原因が関与しているのではないかと言われています。
- 食事制限による食物繊維の低下
- 腎臓の薬の影響
- 腎機能低下により体が酸性になること
- 腸管の血流障害
- 神経の障害による腸の活動性の低下 など
便秘が腎臓病に与える影響
便秘が腎臓病に与える影響は以下の3つが考えられています。
- ミネラルの調整不良になる
- 尿毒素を増やす
- 腎機能を障害する可能性 など
ミネラルの調整に与える影響
慢性腎臓病になると、腎臓での不要なミネラルの排泄ができなくなるので、便から排泄するようになります。
便秘になると便からの排泄に滞りが起きるため不要なミネラルが溜まりやすくなります。
腎臓病で特に問題になるのは高カリウム血症で、適切に治療しないと突然に繋がる心臓の不整脈を引き起こす可能性があります。
尿毒素の調整に与える影響
便秘になると食べたものが腸内に滞留する時間が長くなり、尿毒素が作られやすくなります。
尿毒素は筋肉や骨の異常、心臓などにも影響を与えます。
慢性腎臓病でタンパク制限をするのもこの尿毒素を増やさないためであり、便秘になると尿毒素が増えてしまいます。
腎機能に与える影響
便秘によって溜まる尿毒素は腎機能に悪影響を与える可能性があります。
つまり便秘が腎機能を低下させる可能性があり、現在、腎臓病の便秘に対する治療と腎機能の保護効果を調べた検討がされています。
便秘の治療法
便秘の治療法としては以下のようなものがあります。
- 内服薬
- ウォーキングなどの有酸素運動
- お腹のマッサージ など
腎臓病ではよく使用される便を緩くする酸化マグネシウムという薬を使いすぎると血液中のマグネシウムが増えるので注意が必要です。
また腸の動きを刺激するタイプの便秘薬は依存性が高く、腸の血流を悪化させることもあります。
近年、アミティーザと呼ばれる便秘の薬は便秘の改善だけでなく、腎臓の保護効果がある可能性があり期待されています。(ただし、アミティーザは時折下痢になる方がいます。)