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腎臓病で食べてはいけないものとは

こんにちは、じんぞうの学校の校長で腎臓専門医の森 維久郎です。

今日は、「腎臓病で食べてはいけないものは何ですか?」という、患者さんからよくいただく質問にお答えしたいと思います。

まず最初に(非常に重要)

まず、具体的な話に移る前に、一つ重要なことをお伝えしたいと思います。

腎臓病に良い食事、または避けるべき食事というものは基本的には存在しません。

その理由は、食事の量やバランスが重要だからです。

例として「腎臓病になると食べるべきではない」と言われがちな野菜や果物について触れてみたいと思います。

腎臓病になると、尿から野菜や果物に含まれるカリウムという物質が排泄されにくくなるため、体内にカリウムが溜まってしまうことがあります。

血液中にカリウムが溜まると、心臓の不整脈が起こるリスクがあり、最悪の場合、突然死を招く可能性があるからです。

そのため、可能な限りこのような状況は避けるために腎臓病、特に透析をされている方については野菜や果物を控えるように指導されます。

 

一方で、野菜や果物は腎臓によって良い効果を得る側面もあります。

例えば重要なミネラルも含まれており、血管保護するなど体に良い影響を及ぼします。

またに、腎臓病になると体が酸性になりやすくなり、それが腎機能の低下を招くという悪循環が生じることがありますが、野菜や果物を適切に摂取することで、体をアルカリ性に保つことが可能となり、これが腎機能の改善に繋がります。

 

したがって、食べ物の選択や量にはバランスが重要となります。

極端にカリウムを避けるあまり、必要な栄養素をとることができず逆に腎臓病にとって健康が損なわれることがあります。

腎臓病の中で6-7割程度の方に相当する腎機能の低下が軽度の方で、血液中にカリウムが溜まらない状況の患者さんについては、野菜や果物を制限する必要はなく、場合によってはむしろ制限をせずに摂取する方がよいことが多々あります。

 

つまり、食べ物自体が腎臓に有害、または有益であるというわけではなく、どの程度の量をどのようにバランス良く摂るかがキーポイントとなります。

それを踏まえた上で今回の記事をご覧ください。

 

避けた方が良い食べ物 ① 野菜ジュース・果物ジュース

野菜ジュース、果実ジュースは通常、複数の野菜・果物を濃縮して作られます。

そのため、その一杯には通常の食事よりも多くのカリウム・糖が含まれていることがあります。

液体状のカリウムは体にとてもよく吸収されるため、カリウム制限・糖尿病がある人は野菜・果物ジュースを摂取する際には特に注意が必要となります。

またジュースにすると腎臓病の治療にとって必要な食物繊維の摂取もできなくなります。

ジュースではなく野菜・果物を食べる方がまだましと考えることができます。

以上のことからも、飲料の選択もまた、腎臓病を管理する上で重要な要素となります。

飲み物については の記事をご参照ください。

 

避けた方が良い食べ物 ② 加工食品

加工食品は非常に幅広く、日々の食生活の中で頻繁に利用されるものも多くあります。

以下に、一部の加工食品の例を挙げてみましょう:

  1. インスタント食品: カップラーメン、インスタントヌードル、インスタントカレーなど。
  2. 冷凍食品: ピザ、冷凍パスタ、冷凍餃子、冷凍フライドポテトなど。
  3. 缶詰やレトルト食品: ツナ缶、コンビーフ、レトルトカレー、レトルトパスタソースなど。
  4. 加工肉: ハム、ソーセージ、ベーコンなど。
  5. スナック食品: ポテトチップス、プレッツェル、ポップコーンなど。
  6. 加工デザート: アイスクリーム、ケーキミックス、インスタントプリンなど。

しかしこれらの加工食品は腎臓病の患者さんにとって注意が必要です。

なぜなら、カップラーメンやインスタント食品などの一部の加工食品は、非常に多量の塩分を含んでいるからです。

これらの食品の塩分の過剰な摂取は、血圧の上昇を招くだけでなく、腎臓にも大きな負担をかけます。

また、これらの加工食品はリンも多く含んでいます。

リンは本来、私たちの体にとって必要なミネラルですが、過剰に摂取すると体内のカルシウムと結合し、動脈硬化や石灰化を引き起こす可能性があります。これらの状況は、腎機能の低下に直結します。

そのため、腎臓病の患者さんは、加工食品を摂取する際には特に注意が必要です。

 

避けた方が良い食べ物 ③ バナナ

バナナは栄養価が高く、特にカリウムが豊富な果物です。

健康な人にとっては、カリウムは心臓や筋肉の機能を正常に保つために重要なミネラルです。

しかし、腎臓病のある方は、腎臓がカリウムを適切に体外に排出する能力が低下しているため、カリウムの摂取には注意が必要となります。

バナナの摂取についての一部の工夫としては

  • 摂取量を制限する
  • 小さなバナナを選ぶ
  • バナナを一部だけ食べて残りは保存する

などが考えられます。

また、食事全体のバランスを考慮することも重要です。

例えば、他のカリウムが多い食品を摂取する場合、バナナの摂取量をさらに制限することも必要となるでしょう。

 

避けた方が良い食べ物 ④ ドライフルーツ、ベジタブルソース

ドライフルーツとベジタブルソースは、腎臓病患者が注意深く摂取を管理するべき食品です。(アメリカの腎臓病のガイドラインでも言及されています。)

ドライフルーツについては、フルーツが乾燥しているため、その成分が凝縮されています。

ベジタブルソースについても同様に成分が濃縮されています。

これにより、少量であってもカリウムの摂取量が増えます。

例えば、ヨーグルトにドライフルーツ、ベジタブルソースを加えて毎日食べるという習慣がある方は、注意が必要です。

 

避けた方が良い食べ物 ⑤ 市販カレーライス

カレーは多くの人々にとって人気のある食事ですが、腎臓病の人々は市販のカレールウの使用に注意が必要です。

市販のカレールウは通常、塩分やリンが豊富に含まれており、これらは腎臓病の人々にとっては摂取を制限するべき成分です。

一方、カレー粉自体はリンが少ないため、自家製のカレーを作る際にはカレー粉を使用することをおすすめします。

ドライカレーも、水分が少ないため塩分の摂取を抑えられ、腎臓病の人々にとって良い選択肢となります。

細かいコツとしては、ひき肉にはカレー粉をまぶしておき、こしょうのように臭みを取り、味付けの段階でもカレー粉を加えることで、スパイスの香りと味わいを十分に楽しむことができます。

カレー粉を2回に分けて入れることで、腎臓病の患者さんでも美味しく食べる味わい深いカレーが完成します。

 

さいごに

いかがでしたでしょうか?

腎臓病に良い食事、または避けるべき食事というものは基本的には存在しないという前提で、代表的な注意が必要な食べ物5つについて触れていきました。

じんぞうの学校では腎臓病の特に食事でお悩みの患者さんに向けた情報発信を動画でも行っています。

ご興味がある方は是非ご覧ください。

またYoutubeチャンネル「じんぞうの学校」でも腎臓病の方にとってもお役立ち情報を配信していますので是非ご覧になってくださいね。

この他にも、カリウム、タンパク質の食べ方の基本的な所から、この食材がお勧めという具体的な話まで触れていきます。

また食事だけでなく

  • 腎臓専門医の医学講座
  • 近年話題の腎臓リハビリテーション

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