こんにちは、じんぞうの学校の校長で腎臓専門医の森 維久郎です。
腎臓病の外来をしていて、患者さんから「コーヒーって飲んでよいですか?」と聞かれることがあります。
私も無二のコーヒー好きであり、すこしこの記事でまとめてみようと思います。
細かいところまで触れているので、読み飛ばしたい方は最後の結論の所だけ読んでください。
コーヒーと腎臓についてのエビデンス
コーヒーと腎臓について、ガイドラインにも記載がなくコンセンサスもありません。
このような場合は過去の研究を一つ一つ解釈して、医師個人が結論を出していくしかないので今までの論点やエビデンス(科学的根拠)をレビューしていこうと思います。
コーヒーは体に良い?
コーヒーが体に良いかについては、まだコンセンサスがなく分かっていません。
数ある報告の中でも一番有名なの、2017年にannals of internal medicineという世界的権威にある医学誌からの報告で以下のような内容です。
コーヒーは体に良い可能性があり、1杯より2杯、2杯より3杯、3杯より4杯以上の方が心筋梗塞・脳卒中や糖尿病や腎疾患などによる死亡率が低い(*1)
4杯以上については、よく分かっていません。
また、欧米人のような体の大きい人にとっての適正な量と日本人にとっての適正な量は異なるので解釈に注意が必要です。
コーヒーは腎臓に良い?
まだ、コーヒーが腎臓に良いかは分かっていません。
数ある報告の中で、以下の2つの研究結果が参考にできると思います。
- コーヒーの摂取量が多いと腎臓病になるリスクが下がるという報告(*2)
- 腎臓病ではカフェインを飲んでいる人の方が、死亡率が低いという報告(*3)
コーヒー自体に効果があるのか、コーヒーを飲むような社会的地位の高い方の暮らしが良いのかについては議論の余地がまだあるようです。
ただ現段階で「コーヒーは腎臓に悪い」という報告はあまり無く、コーヒーを飲むと腎臓が悪くなる訳ではなさそうです。
腎臓内科医としてこれらの結果を考える。
今までの研究結果と、現段階での私の結論は以下のようなものです。
コーヒーが腎臓に良いかはまだ分かっていないが、恐らく腎臓病がコーヒーを飲んでも問題ないだろう。
ただしコーヒーにはカリウムが含まれているので注意は必要です。
とはいえ、大量の砂糖が入っているものや、添加物が入っているインスタントコーヒーはやはり避けるのが良いと考えます。
参考文献