もち麦について
もち麦はもち性の大麦を精麦したもので、粘り気がありもちもちとした食感が特徴です。
似たような種類に押し麦がありますが、押し麦はうるち性の大麦で、もち麦とは栄養成分や食感が違います。
もち麦は、白米よりも食物繊維やマグネシウムなどのミネラル分が豊富であるといわれています。特に水溶性の食物繊維が豊富で、便を柔らかくする、小腸での栄養素の吸収速度を緩やかにする、食後の血糖値の上昇を抑えるなどの働きがあるため、健康維持への効果が期待できます。
栄養成分(100g)
※もち麦は日本食品標準成分表2020年(八訂)には記載がないため、参考値として押し麦の栄養成分を記載した。
成分 | 押し麦(乾) | 押し麦(めし) |
---|---|---|
糖質(g) | 66.1 | 26.3 |
脂質(g) | 1.5 | 0.5 |
タンパク質(g) | 6.7 | 2.2 |
リン(mg) | 160 | 46 |
リン/タンパク質比 | 23.8 | 20.9 |
カリウム(mg) | 210 | 38 |
食塩相当量(g) | 0.0 | 0.0 |
エネルギー(kcal) | 329 | 118 |
腎臓病患者さんの食べ方のポイント
食品中に含まれるたんぱく質に対するリンの割合をリン/たんぱく質比といいます。
リンを制限している方は、たんぱく質が少なくリンが多い食品、つまりはリン/たんぱく質比が高い食品をなるべく控えるのがポイントです。
もち麦はうるち米よりもリン/たんぱく質比がやや高めなので、もち麦だけを食べるのではなく、うるち米と混ぜて食べるのがおすすめです。ステージG3以上の方でもち麦を食べたい場合は、主治医に相談しましょう。
腎臓病患者さんのおススメレシピ①
ブロッコリーとだいこんのぷちぷちサラダ
■材料(2人前)大まかな所要時間:25分
- もち麦(乾燥)…10g
- ブロッコリー…60g
- だいこん…40g
- りんごとたまねぎのソース…大さじ3 ※りんごの記事を参照してください。
■手順
- 鍋に水を入れ、沸騰させたらもち麦を入れて15~20分ゆでる。ゆであがったらざるに移して水けを切り、冷水で洗って再度よく水けを切る。
- 別の鍋に水を入れて沸騰させたら、小房に分けたブロッコリーを入れて5分程度ゆでる。ゆであがったらざるに移してよく水けを切る。
- だいこんは1cm程度の角切りにし、10分程度水に浸け、よく水けを切る。
- 1~3をボウルに入れ、りんごとたまねぎのソースを加えてよく混ぜ合わせる。器に盛り付けて出来上がり。
エネルギー:61kcal たんぱく質:1.9g カリウム:160mg リン:42mg リン/たんぱく比:22.1 食塩相当量:0.3g
※もち麦は日本食品標準成分表2020年(八訂)には記載がないため、参考値として押し麦の栄養成分を活用して算出した。
ひとくちメモ
ゆでたもち麦は冷凍保存できるので、多めにゆでて小分けにして冷凍すれば、必要な時に必要な分だけ使うことができます。
りんごの記事で紹介した、<りんごとたまねぎのソース>を使用しました。
このソースは、ブロッコリーやだいこんと相性が良く、少ない塩分でもおいしくいただけます。味が薄くならないように、野菜類やもち麦はよく水けを切るのがポイントです。
腎臓病患者さんのおススメレシピ②
きのこともち麦の混ぜご飯
■材料(2人前)大まかな所要時間:20分(炊飯の時間を除く)
- もち麦入りごはん(米1合ともち麦50gで炊いたもの)…360g
- にんじん…40g
- ごぼう…40g
- 干ししいたけ…10g
- バター…4g
- ウスターソース…小さじ2
- こねぎ…少々
■手順
- にんじんは千切り、ごぼうは皮付きのままささがきにする。干ししいたけは水に戻し、絞っておく。
- 鍋に水を入れて沸騰させたら、1を5分程度ゆでて、ざるに移し、水けを切る。
- フライパンを中火で熱したら、2を入れて乾煎りし、水けを飛ばす。
- ウスターソースとバターを入れてさっと混ぜたら火を止め、もち麦入りご飯を入れたボウルに加えてよく混ぜる。
- 器に盛り付け、こねぎを散らしたら出来上がり。
エネルギー:305kcal たんぱく質:5.3g カリウム:190mg リン:85mg リン/たんぱく比:16.0 食塩相当量:0.7g
※もち麦は日本食品標準成分表2020年(八訂)には記載がないため、参考値として押し麦の栄養成分を活用して算出した。
ひとくちメモ
混ぜご飯は、炊き込みご飯のように炊飯の際に水の量を気にせず簡単に作ることができます。今回はもち麦入りのご飯を使いましたが、ゆでたもち麦を白飯に混ぜても同じ手順で作れます。
味に物足りなさを感じる方は、にんにくやこしょう、輪切りの唐辛子を入れると塩分を増やさず満足感が得られる味になります。
カリウムが気になる方は、手順1でにんじんとごぼうを水に5分程度浸けましょう。