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腎臓病でもワインは飲んで良いのか

こんにちは、じんぞうの学校の校長で腎臓専門医の森 維久郎です。

私の外来に通院している患者さんでワインが好きな患者さんがいて、比較的診療が空いている日はワインについて色々教えてもらっています。

とある日、ワインと腎臓について聞かれて曖昧に答えてしまったので、すこしこの記事でまとめてみようと思います。

細かいところまで触れているので、読み飛ばしたい方は最後の結論の所だけ読んでください。

ワインと健康についてのエビデンス

ワインと腎臓について、ガイドラインにも記載がなくコンセンサスもありません。

このような場合は過去の研究を一つ一つ解釈して、医師個人が結論を出していくしかないので今までの論点やエビデンス(科学的根拠)をレビューしていこうと思います。

 

フランス人に心筋梗塞が少ないのはワインのおかげ?

ワインの世界では有名な言葉でフレンチパラドックスという言葉があります。

これはフランス人はバターとか肉などの飽和脂肪をよく食べるのに、心筋梗塞がそこまで多くないという矛盾を指した言葉です。

そして、1990年頃にLancet(ランセット)という一流の雑誌にアルコールをよく飲むことと関係があるのではないかという考察が話題を呼びました。

 

アルコールの中でもワインが良いのか?

アルコールと心臓の病気については昔から研究されており、現段階では1杯程度であればアルコールは心臓にとって良いと考えられています。(アルコールと癌もしくはアルコールはすべての病気の関係性については、アルコール1杯でも良くないと考えられています。)

その中で、2000年頃にCiruculationという循環器の世界で権威のある雑誌から、ワインの方がビールより心臓の病気を減らすという趣旨の研究結果が報告されました。

この研究はメタアナリシスという方法で調べられており、信ぴょう性の高い研究結果と判断されました。

ただし、ワインを飲むこと自体に効果があるのか、ワインを飲むような社会的地位の高い方の暮らしが良いのかは議論の余地がまだあるようです。

その後、ワインに含まれるポリフェノールなどの物質が心筋梗塞や腎障害に関わる酸化ストレス、内皮細胞という箇所の障害を抑制する事が動物実験レベルなどで報告されるようになりました。

 

赤ワインと白ワインの違い

赤ワインにはポリフェノールなど心臓や腎臓に保護的に働く物質が多く含まれているが、含まれていない白ワインについてはあまり分かっていませんでした。

しかし10年ほど前に白ワインにも心臓や脳の病気を減らす可能性が報告されました。

白ワインにはチロソールやヒドロキシチロソールというフェノール類を含んでおり、心血管イベントを抑制に大きく関わっていると考えられています。

また、白ワインとオリーブオイルを使った食事をすると腎臓に対しても良い効果がある可能性も報告されています。

 

ワインと腎臓

今までワインと心臓について触れてきました。

腎臓病では、心臓の病気が起きやすいため心臓を守る必要があるので、ワインの心臓を守る効果は朗報です。

一方で、ワインは腎臓に対して保護的に働くかどうかはまだ分かっていません

 

現段階での見解として、以下の2つの報告は参考になると考えています。

  1. ワインに含まれるポリフェノールなどを多く含むCR-LIPE食と糖尿病性腎症の進行を遅らせる可能性が報告されている。
  2. ワインを1日1杯程度飲む人は、慢性腎臓病になりづらいという研究結果がアメリカの学会で報告されている。(ただ論文化されていない。)

 

私見

以上を踏まえて、個人的な結論として以下のような結論としました。

  1. 1-2杯の適量なワインは飲んでも良い可能性が高いだろう
  2. カリウムやおつまみの塩分には注意が必要

ワインにはそれなりのカリウムが入っているので、カリウムが高い方は注意しましょう。

 

腎臓病のレシピ集

いかがでしたでしょうか?

腎臓病でワインを飲んでよいかのコンセンサスはまだありませんが、私見で結論をまとめてみました。

この話のように一つ一つの食材が腎臓に良いかどうかに結論を出すことが難しく、わかっている根拠をもとに判断していくしかありません。

また患者さんの状況によって良い悪いは異なるため最終的には主治医との相談が必要と考えます。

あれもだめ、これもだめと悩んでいる腎臓病の患者さんを多くみかけます。

じんぞうの学校のブログでは腎臓病の方でも食べやすい食事のレシピを一部公開しています。

ご興味がある方は以下のリンクをご参照ください。

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